Case Study 06

パッケージの「枠」に事業を合わせない。運用実態に直結するデータ構造に踏み込む画材ECサイトリニューアル

画材専門店 ECサイト リニューアル

1. 「画材専門」業界ならではの特徴

一般的なアパレルや雑貨向けのECサイトとは異なり、画材を専門に扱うECサイトには以下のような前提条件と特徴が存在します。

  • 商品の特徴: 画材(とくにペンや絵の具など)は、数十〜数百の色が存在します。
  • 購買行動の特徴: ユーザー(プロのクリエイターや美大生など)は、同じ商品から色違いを「一回の注文で数十種類まとめて購入」します。
  • システム環境の特徴: 実店舗が存在し、さらにAmazonや楽天などの複数モールにも出店しています。

2. 相談いただいた時点では、私たちも「画材」業界の特徴を知っていたわけではありません

最初にリニューアルや業務効率化のご相談をいただいた時点では、私たちも画材業界の運用実態を完全に把握していたわけではありません。
だからこそ、「ECパッケージの標準機能を使えば解決します」とITの一般論を提案するのではなく、まずはお客様との運用実態の対話からスタートしました。

3. 対話を通して気付いた運用実態と、技術的決断

対話を通して要件を伺うと、一般的なECの想定を当てはめるだけではシステムと運用が成り立たない事実が分かりました。
事実に基づくビジネスの前提条件と、それに対して私たちが提案した設計は以下の通りです。

■ オプションを使わない「独立SKU」と「一括購買UI」の設計

【当初の想定】

数十〜数百の色が存在するという特徴に対し、アパレル等のECのセオリー通り「親商品」を用意し、色は「プルダウン(select)などのオプション」として持たせればデータは管理できると考えていました。

【実態】

しかし、ユーザーは同種のペンをまとめて十数本買うため、色をプルダウンにすると「1本選んでカートに入れ、また詳細ページに戻る」操作が必要になり、購買の妨げになります。
かといって「ペンだけ一覧画面にチェックボックスを置き、他の商品はプルダウンにする」という商品ごとの条件分岐を組み込むと、カスタマイズ範囲が広がり、将来的なシステム保守性が低下します。

【私たちが提案した設計】

そこで私たちは「色をオプションとして扱わない(すべてを完全に別商品として登録する)」設計を選択しました。このデータ構造は、後述する基幹システムとの商品マスタ連携の仕様に直結するため、お客様と綿密なコミュニケーションをとり許可を得た上での提案です。
データベース上では独立した商品としつつ、フロントUI上では一覧画面から数十種類をスムーズにカートへ入れる一括購入UIを実現しました。これにより、大量購入の要件とシステム保守性を両立しました。

■ 基幹システムを「正」とするマスターデータ連携

【当初の想定】

EC-CUBEの標準パッケージの仕様を踏まえて、新しく構築するECサイト側に商品マスターや在庫データを持たせる運用を想定していました。

【実態】

実店舗と複数モール間で在庫が常に動いているため、ECサイト独自に在庫数を持たせるとデータの不整合が発生してしまいます。

【私たちが提案した設計】

ECサイト側にはマスター情報を持たせず、ユーザーとのインターフェースとして位置付ける設計をとりました。商品や在庫データ、そして出荷完了データは「基幹システム(ネクストエンジン)からECへ」、入金済み等の売上確定注文データは「ECから基幹へ」と、APIを用いたデータの連携方向を定義し、オートメーションな運用環境を整えました。

🏢 【当社の見解】パッケージの枠に囚われない、事業に寄り添うシステム設計

この事例が示していること

この事例でお伝えした通り、「色違い=オプション設計」や「EC側にマスタを持たせる」といったEC-CUBEの標準パッケージの仕様に固執すると、お客様の特殊な購買行動(一括大量購入)を阻害したり、基幹システムとの間でデータの不整合を生み出したりすることになります。

タイガーテックでは、パッケージの標準機能という「枠」に事業を合わせるのではなく、運用実態に直結するデータ構造に踏み込み、UIと保守性、基幹連携を含めた「技術的なトレードオフ」から逃げずにシステムを設計します。

ECというフロントの画面だけを作る業者ではなく、裏の基幹システムとの高度なAPI連携ロジックまでを緻密に組み上げるスタンスで、現場で事業を支えるオートメーションな運用環境を構築いたします。

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Introduction

プロジェクト概要

数千点の画材を扱うECサイトのリニューアル。特有の行動シナリオを見据えた基幹連携と一括購買UIの構築。

採用技術・インフラ

お客様の要件にどう技術で応えたかの裏付け。

  • EC-CUBE (フルカスタマイズ)
  • ネクストエンジン連携 (商品・在庫・受注API)
  • PHP
  • AWS (EC2 / RDS / ロードバランサー)

関連サービス

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