ユーザーの行動シナリオと運用上の制約を考えて開発する。写真販売ECサイトリニューアル
写真販売ECサイト リニューアル
1. 「写真販売」業界ならではの特徴
一般的なアパレルや雑貨向けのECサイトとは異なり、写真販売のECサイトには以下のようなセキュリティ要件や負荷、ユーザー行動の特徴に対応する必要がありました。
- セキュリティの特徴: 通常のECサイトは商品の画像を公開領域に置きますが、写真販売サイトではプライバシー保護のため、権限のある人しかアクセスできないように画像を保護(非公開領域に配置)し、無断保存を防ぐための「透かし(ウォーターマーク)」を入れるなど、専用の対策が要求されます。
- 負荷の特徴: 通常のECではカートに入る商品は数個ですが、写真販売では「自分の子どもの写真を1回の注文で数十〜数百枚カートに入れる」という大量注文が発生します。
- ユーザー行動の特徴: イベントごとにアップロードされる数千枚の写真の中から、「自分がほしい写真」だけを一枚ずつ探し出して選ぶため、サイトの滞在時間が非常に長くなるという特徴があります。
実際、今回システムリプレイスを相談いただいたお客様も、「アクセスが集中するとデータベースが落ちてしまい、画面がフリーズしてしまう」というインフラの悩みに加え、「保護者が写真の検索や選択に時間がかかりすぎてしまう」というユーザー体験の課題を抱えられていました。
2. 相談いただいた時点では、私たちも「写真販売」業界ならではの特徴を知っていたわけではありません
最初にリプレイスや負荷対策の相談をいただいた時点では、私たちも写真販売業界ならではの「セキュリティ要件」や「ユーザー行動」といった特徴の実態を完全に把握していたわけではありません。
だからこそ、「アクセスが多いならサーバーを増量しましょう」と提案するのではなく、まずはお客様のお話を伺うことからスタートしました。
3. 対話を通して業界ならではの特徴を把握し、新しいシステムの方針を設計
改めて整理すると、相談いただいた時点でお客様が抱えていたのは、「アクセス集中時でも落ちないサイトにしたい(負荷)」と「写真をもっと探しやすくしたい(UI/UX)」という2つの要望でした。
これに対し、私たちも当初は「負荷対策の方針としてはサーバーを増やして分散する(スケールアウトなど)」「UI/UX改善の方針としては検索機能を強化する」といった手法を想定していました。
しかし、お客様との対話を通して要件を伺うと、これらの手法を一般的なECの想定で当てはめても満たせない「3つの前提条件」が存在することが分かりました。
一般的なECのように「数分で数個の商品を買う」想定での構築では意味がありません。保護者が「サイトに長時間滞在して大量の写真を閲覧し続け、数百枚の写真を一度に注文する」という購入シナリオが発生します。そのため、この行動シナリオを「負荷試験」として開発プロセスに組み込むことが必須でした。
キーワードで検索できない子供の顔を探すため、既存の検索アプローチは役に立ちません。数千枚の中から直感的に探し出せる仕組みが必要でした。
プライバシー保護のための非公開領域への配置に加え、無断保存防止の透かし処理も必須です。さらに「写真の販売中に透かし画像を差し替えられるようにしたい」という要件があったため、アクセスされるたびに透かしを入れて表示する仕組みが必要となり、これがサーバーへ負荷を発生させていました。
これらを知ったからこそ当初考えていた手法は諦め、それぞれの課題に対して、下記のアプローチを試みました。
- 負荷試験の開発プロセスへの組み込み: この業界特有の行動シナリオに基づいた負荷試験を開発工程で実施し、大量購入時のボトルネックを特定・排除してシステムを構築する
- UI/UX設計: Amazon Rekognitionを用いた顔画像の自動ピックアップや高精細サムネイルに加え、お客様の要望を反映した「フォルダ単位での写真表示」や「連続して写真を見られるUI(次へ・前へ)」を実装し、保護者の検索・選択体験を劇的に効率化する
- セキュリティと買い物の分離設計: アクセスのたびの透かし処理や非公開画像レスポンスが、買い物のメイン処理(カート追加や決済)の邪魔をしないようインフラ配置を完全に切り離す
🏢 【当社の見解】現場の理解から始まるシステム開発
この事例が示していること
この事例でお伝えした通り、システム開発において「ITの一般論(サーバー増量や単純な検索の強化など)」を当てはめても、お客様ごとの特有の業務要件(大量購入や、透かしの差し替え運用など)を満たすことはできません。
タイガーテックでは、表面的な手法に飛びつくのではなく、まずお客様のビジネスの裏側にある「本当の行動シナリオや運用上の制約」を深く理解することを出発点としています。
「言われた仕様通りに機能を作る業者」としてではなく、「お客様の過酷な要件にエンジニアリングで応える職人」として、真に現場で事業を支えるシステムを共に構築いたします。
👉 詳細はこちら:現場主義を貫く、当社の「BtoC EC構築」サービスプロジェクト概要
BtoC向け写真販売ECサイトのサーバー・アプリケーションのリプレイス。特有の行動シナリオを見据えたインフラ設計へのシフト。
採用技術・インフラ
お客様の要件にどう技術で応えたかの裏付け。
- ✔ AWS (EC2 Auto Scaling, RDS Aurora, EFS, Rekognition)
- ✔ PHP (Laravel)
- ✔ Redis (キャッシュ・セッション・画像認証)